経験値低すぎ

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祝・高杉(藤ヶ谷)杏奈、二十七にして初の彼氏ができる 「……ってそうじゃない」  私は冷静にツッコんだ。  ベッドに横になり布団を被ったまま寝返りを打つ。部屋のカーテンからは朝の光が漏れていた。枕元の携帯を覗くともう八時を過ぎていた。  大きく伸びをして息を吐く。休日の朝だと言うのに、一時間ほど前から目が覚めていた。それでも中々リビングに起きていく気になれず温かな布団の中でゴロゴロしていたのだ。  初の彼氏ができる。その相手は結婚相手だ。 ……意味わからないわ、文章無茶苦茶か。  巧と交際を始めましょうとなったのがもう数日前。その後私はホテルに置きっぱなしにしていた荷物をまとめて帰ったり、巧は事故の後処理や仕事だったりと忙しい日を過ごした。そしていつものように朝を迎え、お互い仕事に出かける、と。  元々平日はあまり顔を合わせることはなかった。藤ヶ谷副社長の巧は特に仕事が忙しく、帰ってくるのは夜遅い。帰ってきて食事をとってお風呂に入るともう就寝時間、ってことはよくある。
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