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ゲームの世界じゃ対象相手と結ばれておしまいだ。その後の生活なんて描かれていない。デートのシーンだって普通付き合う前に体験するもので、彼氏になったあとのことなんか知らない。
あまりに酷い。自分の恋愛についての知識が。
はあとため息をつきながらとりあえず部屋から出て洗面所に向かう。歯磨きと洗顔を終わらせ化粧水を塗っていると、これまたどうでもいい疑問が浮かび上がってくる。
今までは休日なんて出かける予定なければすっぴんだった。でも流石にメイクくらいすべき?
でもそれって「お、いつもすっぴんの癖に俺を意識して朝からメイク頑張ったのか」とか思われそうでなんか癪じゃない? あの男絶対そうやって思いそう。
じゃあ服は? 部屋着じゃだめ?
わ・か・ら・ん!!!
パニックに陥ったところでもう全てを放棄した。私はいつも通りすっぴんと部屋着でリビングへと向かって行ったのだ。
「おはよ」
扉を開けると、巧はもう起きていた。ソファに座って優雅にコーヒーを飲みながらテレビを見ている。平日夜遅いし土曜日くらいゆっくり寝てればいいのに。私より早いって。
「お、はよ。早いね」
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