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「普通だろ」
そう答える巧声は至って普段通りだった。なんとなくそれにほっとする。自分の中で張っていた緊張がややほぐれる。
「朝ご飯食べた?」
「まだ」
「あ、昨日のご飯余ってた。卵かけご飯にしよう」
「お前さ……いやいいけど」
巧は呆れたように言った後小さく笑った。そんなどうでもいいシーンなのに、なぜか私はどきりと緊張した。それを隠すように慌ててキッチンに入っていく。
「巧もいる? 卵かけごはん」
「もらう」
「流石にもう一品欲しいよねえ〜ほうれん草でも茹でるか」
冷蔵庫を開けて独り言を言いながら野菜を取り出した。さっさとお湯を沸かしてすぐに茹で、絞ってカットする。醤油とかつおぶしでよし!
「完成ー私ほうれん草好きなんだよねー」
ご飯をよそって卵も準びすると、いつのまに来ていたのかダイニングテーブルに座っている巧がいた。私は上機嫌で運ぶ。
「ありがとう」
「あー美味しそう! いただきます!」
卵かけご飯にほうれん草茹でただけ。いつもと変わり映えしない朝食だった。むしろ平日はパンだけを齧っているから普段より豪華かもね。
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