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どこかニヤニヤしたような顔でこちらを見てくる男にかっとなる。いや、見たかったわけじゃないから!!
「べ、つ、に!! そんなこと意識してませんしー!」
「お前時々なんで急にガキになるの」
「情けなく怖がっても知らないから」
「振りか? 夜一人で寝れないなら一緒に寝てやらないこともない」
「馬鹿!」
巧はまたしても面白そうに笑った。この前真っ赤になって私に告白してきた男と別人だろうか? おかしい、巧は今までと全然変わってないじゃないか。
付き合うってどういうことか分かっていない私は首を傾げる。そりゃ突然巧が甘い言葉でも言ってくるほうが調子狂うけどさあ……
「そうと決まればチケット取っておくから。杏奈は着飾ってこい」
「はーい」
「恥ずかしい格好で出るなよ、おにぎりとか」
「あれは寝る時だけよ! 普段はちゃんとしてるの知ってるでしょうが! ちゃんと藤ヶ谷の奥様として恥ずかしくないようにしますー」
「なら安心した」
巧はそう言いながら私が用意した卵かけご飯を食べた。今更ながら、藤ヶ谷副社長に卵かけごはんって私頭大丈夫かな。さすがに庶民的すぎた。巧も文句言ってくれてよかったのになあ。
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