経験値低すぎ

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 それから私たちは予定通りホラー映画を鑑賞した。なかなか良作だった。ただし案の定見終わった後はムードのかけらもなくホラー映画を見たあとの後味悪い感じが残っていた。  巧が以前行ったことがあるという小洒落たイタリアンのレストランに入り、そこでランチをいただくことにする。  そういえば外食も結婚の顔合わせ以来したことがなかったっけと思い出す。改まって正面に座られるとどこか小っ恥ずかしいのは何故なのか。 「杏奈のみたかったら飲んでもいいぞ」  メニューを開きながら巧が言う。彼は運転があるので飲めるわけがない。  流石に一人でお酒を飲むのも気が引けたので断った。 「まだ昼だしいいや、ソフトドリンクで。ええっと、私このパスタにしようかな」 「決まり」  メニューを閉じた巧は店員に声をかけてオーダーしてくれる。その様子を眺めながら、チケットを取るのも買い物も食事も、この人は贔屓目に見てもスマートだ。自画自賛しても仕方ないほど洗練された行動をとっている。  金持ちゆえか、過去にあった恋愛の多さゆえか。 ……両方だろうな。
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