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巧とマンションに戻り、彼はいつものようにリビングへ入っていった。私は今日買った靴をシューズクロークへ収納する。普段使いするには流石に気が引けるので、多分ここぞという時に出番が来るはずだ。そのここぞと言う時がいつなのかは知らない。
私は自分のカバンを置くために一旦自室へ入った。キラキラ金髪の王子が笑って出迎えてくれるが、私の口からはため息しかもれなかった。
しまったなあ。もうちょっと気の利いたことをいえればよかったな。
今更ながら、私の買い物はしたけど巧の買い物はしてないんだしそれを提案してみるとか。別に必要じゃなくても二人の生活雑貨でも見に行くとか、今考えれば浮かんでくると言うのに。なぜあの時提案できなかったんだ私。
とりあえずスマホを開いて『付き合いたて デート 行き先』と検索をかけた。中学生か私は。
呆れながらも検索結果を必死に読み込んでいると、デートする場所だけではなくさまざまなエピソードがインターネット上にばら撒かれていた。
初デートで手を繋ぐ……?
初デートでキスをする……?
「お、おいおい……世のみんなはそんな高度なデートしてるのか……!」
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