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私より断然デート慣れしてるであろう巧も、あんな感じなのってどうなの? あの男、性格から見るに何か手が早そうなのに、やっぱり私があまりにもノリが悪かったからだろうか。そりゃ昼過ぎに帰るような女じゃなあ。
ぐるぐると色んな意見が頭を回って結論など出てこない。私はふらふらと立ち上がり、とりあえずリビングへ行こうと思った。家に帰ってきて自室に篭りきりじゃ態度悪く見えるだろう。もうこの頭じゃ何を考えても答えは出なさそうだ。
力ない足どりで自室を出てリビングへ向かう。ゆっくりとその扉を開けると、先に入っていた巧がソファに座ってスマホをじっと眺めていた。
その姿を見て再び申し訳なく思う。初めてのデート、ノリの悪い女でごめん。
「巧……」
声をかけると、彼は私が入ってきたことに気がついてなかったのか驚いたようにこちらを見た。そしてすっと携帯をポケットに仕舞い込んだ。
「ん、何?」
「あ、いや、えーと、靴、改めてありがとう……」
「別に。預けたカードで勝手に買ってもいいんだから」
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