経験値低すぎ

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   私は項垂れながら今日の出来事を話した。外出してほんの数時間で帰るのを促してしまったこと。手を繋ぐこともキスもせず十四歳女子に負けてしまったデートだったこと。初めてのデートだというのに気が利いたことも言えず全然盛り上がらなかったこと。  私は悲しみの極限で話しきったのだが、次に耳に聞こえた麻里ちゃんの声はなんだか嬉しそうな弾みっぷりだった。 『え、やだ、ちょっと、思ってた内容と違う!!』 「……へ? 思ってた内容?」 『いやいやいやいや杏奈……  いやいやいやいや! あんた! 可愛すぎかよって!』 「おーい麻里ちゃん帰っておいで」 『三次元はだめだっていうからね。てっきり、デートしてみたらオーウェンとまるで違う振る舞いでがっかりした、彼氏なんかいらないっていう報告かと思ってたのよ』  麻里ちゃんは明るい声でそう言った。それを聞いて確かに、今までの私だったら言いそうなことだなと納得する。全ての言動をオーウェンと比べるってやりそうだもん。 『それが何? 緊張して経験もないからどうしていいか分かんなくて帰りたいみたいなこと言っちゃって呆れさせたかもって、やめてよもう……』
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