経験値低すぎ

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「せ、せっかく初めて出かけたのにすぐ帰りたいみたいなこと言っちゃって……わた、私ほとんど男の人と出かけたことなんかないから緊張して全然わかんなくて。気の利いたことも言えないし……」 「……え」 「ごめん、私本当に恋愛ってよくわかんないんだよ。スマホでデートの仕方を調べるくらい偏差値が低いんだよ」  鼻声で震えた私の声が部屋に響いた。巧は返事をすることもなく無言で私を見ている。  ついにこんなタイミングで言ってしまった。全てが計画外だ、巧の分の料理もほぼ完食して半泣きでこんな暴露をするだなんて。  しばらくそのまま棒立ちになっていた巧は、次の瞬間踵を返してリビングから足早に出ていった。突然の行動に、私は涙も止めてキョトンとする。  ドタドタと足音を立てながら巧が戻ってきたかと思うと、手には何やら本を持っていた。巧はテーブルの上にそれらを乱暴に置いた。  並んだ本達を見て目が点になる。 『おすすめデートスポット』『レストラン特集』『ケーキ特集』…………?  巧が持っているとは思えないラインナップ。  私はぽかんと目の前の巧を見上げる。そのとき、巧の顔を見てはっとした。  
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