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そこまで言うと、巧は手で口元を押さえた。泳ぐ視線が彼の戸惑いを表している。
まさか、巧も私と同じこと考えてた? 呆れてたわけじゃないの?
少し間があった後、巧は私の隣の椅子に座り込んだ。そしてこちらの顔を覗き込む。
「……俺も本当の恋愛に関してはど素人だ」
そんな台詞を頂いた私は、彼の赤面が移った。一気に顔が熱くなって心臓が躍りだす。
涙は引いてただうるさい心臓に体が支配される。
「……もうちょっと話そうか、俺たち」
「そ、だね……」
「なんか、俺ら始まりが普通じゃないから、戸惑うことも多くて。もっと会話がないといけないな」
「同意します」
そこまで言うと、巧は少しだけ口角を上げてふっと微笑んだ。そして目の前に並べてあった箸を手に取る。
「まずはその余ってるチキン南蛮二切れをよこせ、俺のものだ」
「え。こんな食べかけ食べるつもり!?」
「だって俺のだろ。てゆうか二人前もチキン南蛮食べるな、太るぞ」
「残したらもったいないと思って」
「連絡しなかった俺も悪い。色々考えてたら携帯の充電切らしてることにも気がつかなくて」
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