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私は携帯を取り出して素早く巧にLINEした。ただ、いつも仕事で夜遅くまで働いてる彼はそんなすぐには来れないだろう、それでも隠れて樹くんと二人は避けたい。
「巧はいらないって!!」
「兄弟でしょ。たまにはご飯くらいいいじゃない」
私の手から携帯を取り上げようとする樹くんをサラリとかわすと、私はしっかり送信した。これで、よし。
私は振り返って言う。
「そこにある和食屋さん。美味しいの、行こうか」
巧をよんだことに口を尖らせて拗ねる樹くんだが、そのまま素直に私の隣をついてくる。結局行くんだ
食事。この子よくわかんないなあ。
私の隣に並んだ樹くんが言う。
「せっかく杏奈ちゃんと二人かと喜んだ時間返してよ」
「私なんかと食事して何が楽しいの?」
「押し倒してもびくともしないようなところだよ」
「だから道端で誤解を招くようなセリフやめてくれる?」
「誤解を招くも何も事実じゃーん」
自由奔放。マイペース。一体彼はどう育てられてきたのだろう。計算高い巧とはまるで性格が反対な気がする。
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