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まず外見からして違うもんなあ。ピアスに茶髪。社会人でよくこの……あれ、そういえば。
私は隣を振り返って聞いてみる。
「樹くんって仕事は何してるの?」
「わお、ようやく俺に興味湧いてきた? てゆうか聞くの遅すぎじゃない?」
「てゆうか心のどこかであなたが社会人ってこと忘れてた。ニートって言われても納得する」
「ちょっとちょっと!」
慌てたように樹くんは言う。
「ちゃんと仕事してるよ! まあ簡単に言えばデザイナーかな」
つい目を丸くして彼の顔をみる。なんていうか、納得しつつも驚きもある。
「凄いんだね! 才能なきゃできない仕事だよ」
「んーまあ向いてるとは言われてきたけどね」
「お父様の会社で働かなかったのはやりたいことがあったからなんだね」
「そういうと聞こえはいいね。単に巧の下でなんか働きたくなかっただけ」
眉をひそめて彼は言う。またでた、巧の話題になると本当につっけんどんになる。そりゃタイプも違うから気が合わないかもしれないけどさ……。
「あ、ここここ。小さなお店だけど美味しいの」
「へー。いいね」
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