想定外の再会

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   上品で美人のお義母さんはニコニコと笑いながら私たちに言う。どうやらお酒が入っているようだ。隣に座るお義父さんもこちらに手を挙げた。 「お久しぶりだね杏奈さん、よかったら一緒にどうだ」 「は、はい!」 「大将、テーブルに移ってもいいかな」  なんとも自然な流れで義実家との食事へと変わってしまった。一気に緊張感が増す。隣の樹くんもやや不服そうだ。  それでもさっさと義両親はテーブル席に移ってしまった。私も仕方なしにその向かいに座り込む。  ああ、思えば引っ越してから全く連絡も取ってないし会ってない。嫁としてダメダメなのでは? まさかこんな形で再会するなんて思わないじゃない!  ……いや待てそれより。  ちらりと正面に座るお二人を見た。以前お会いした時も優しくて明るいご両親だったけど。この方たちには大きな嘘をついている。  そう、巧と一年以上付き合って結婚しただなんて。本当はつい先日付き合い出したばかりなんです! これはいけない、気をつけなければボロが出そうだ。 「ここ、この人と昔よく来てたのよ」 「あ、そうだったんですね」 「新婚生活はどーう?」
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