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「ああ……後で巧さんも仕事が終わったら来る予定なんですけど、終わるかどうか」
「えええ! 巧と樹が一緒に食事!?」
目をまん丸にしてお義母さんが叫んだ。あまりに大きな声だったので驚きでのけぞる。彼女は信じられない、といったように首を振っている。
「杏奈さん、どうもありがとう……!」
「へ」
「この子たちが特別なこともないのに一緒に夕飯をとるだなんて。あなたのおかげだわ、信じれない……」
どんだけ仲悪いんだ、この兄弟。
呆れて隣をみると、樹くんはつまらなそうに目を座らせて背もたれにもたれていた。
「いや俺は杏奈ちゃんと二人のつもりで」
「そういえば杏奈さん、結婚式の話は進んでいるの? 招待したい方々がたくさんいるしお祝いの言葉を多く頂いちゃってて」
それはそれは楽しそうに目を輝かせて言われた。もう引き攣った頬の筋肉がすでに限界だ。
結婚式の話なんてしてるわけない。
どう答えようか迷っている時、お義父さんがたしなめた。
「ほら。杏奈さんのおばあさまが亡くなったばかりだろう」
「あ、そうだったわ、ごめんなさい私ったら……」
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