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慌てて口をつぐむ。私は小さく首を振って微笑んだ。
「ええ、まだそこまで巧さんと具体的には話ていなくて……祖母の喪中が明けるまで少し期間がありますし、それまで時間をかけて練ろうと思います。お待たせして申し訳ありません」
「ううんそんな! しょうがないのよ、ごめんなさいね私ったら」
お義母さんが眉をひそめ話題が途切れたことにホッとする。その時ちょうど運ばれてきたドリンクを手に取り、軽く全員で乾杯した。
私以外はみんなアルコールだった。樹くんもサワーをごくごくと飲んでいる。顔に似合わずお酒はそこそこ強そうだ。
それでもすぐにお義母さんはまた顔を明るくさせて言った。
「指輪とかはどう!? 見に行ったの?」
「えっ」
「ねえもしかして巧婚約指輪も渡してないんじゃない?杏奈さん付けてないもの、まさかプロポーズに手ぶらだったのあの子!」
「い、いやそれは……」
「一生に一度のプロポーズに手ぶらなんて! だめよねそんなの、今からでも買わせるべきだわ!」
お義母さん、マシンガントークタイプか。
私は心の中で呟いた。
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