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でもなぜか今はそれができない。彼の前で堂々と下着を運ぶ勇気はなかった。これは自分が成長した証拠なのかなあ、なんて。
「杏奈、俺も少ししたら行くけど多分こっちのが早いから鍵俺が持っておくな」
「え、あ、うんよろしく!!」
「のぼせるなよ」
巧はそういいながらお茶菓子を頬張った。そのリラックスしてる姿がなんだかおかしくて、私は笑いながら部屋を出た。
大浴場でもしお義母さんに会ってしまった日にはどうしようかとドキドキしていたが、タイミングがずれていたのかそれはなかった。よかった、裸の付き合いだなんてちょっと気まずい。
まったり温泉に浸かり日頃の疲れをとった頃、湯気が出そうなくらいホカホカした体を弾ませながら部屋へと戻った。大満足の素敵なお風呂だった、明日の朝も入らなきゃ。それに浴衣ってなぜかテンション上がるよなあ。
ルンルンであの広い部屋へ戻った時、言っていた通り巧の方が早かったらしく鍵は開いていた。私は何も考えずに部屋への襖を開ける。
「ねーすっごくいいお風呂……」
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