残念な頭でいざのぞむ

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「もうこんな時間だった。そろそろ解散しよう」 「あら? ほんとだわ、杏奈さんたちのプチ新婚旅行なのに、二人の邪魔しちゃだめね」  そう二人がお開きにしようとしたのを見て、私はここずっとおさまっていた心臓がどきんと鳴った。それが顔に出ないように必死に営業スマイルを心がけた。  食事が終わればいよいよ巧と部屋で二人きりになってしまう。超ド級の一大イベントが始まってしまう。 「えーもうちょっといいじゃん」  樹くんがつまらなそうに反論したのを義両親はあしらい、ついに隣の巧もゆっくりと立ち上がった。 「じゃ、杏奈行くか」 「え、あ、はい」  私も慌てて巧に続く。ニコニコしながら私たちに手を振るお義母さんに頭を下げる。 「ごちそうさまでした……!」 「ゆっくりしてね!」  二人でそのまま部屋を出、自分たちの客室へと足を進めていく。長い廊下は誰もいない無人だ。二人の足音が擦れる音が響く。 「おいしかったね、ご飯」  沈黙が耐えられなかった私は隣の巧に笑いかける。彼はお腹をさすっていった。 「なかなかの量だった。杏奈が完食するとは思わなかった」 「だって肉がおいしかった」
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