残念な頭でいざのぞむ

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「肉そんなに好きだったか。今度ステーキ屋でも行くか」 「ほんとに!? ステーキ大好き!」  そんなどうでもいい話をしながら自分たちの部屋番号を見つける。巧が持っていた鍵を取り出して開けた。中に入り履いていた草履を脱ぐ。 「でも焼肉とかしゃぶしゃぶもいいなー」 「なんでも行けばいい。休みは合うんだから」 「豚になりそう……」  そういいながら、部屋への襖を開けたときだった。  目の前に、布団が並んで敷かれているのが目に入った。 「…………!」  完全に油断していた自分は固まる。  まさに。  これは、『まさに』ではないか!!  旅館に泊まりに来たからには、食事が終えた頃布団が敷き終わっているのは当然とも言えるサービスだ。でも残念な私の頭からはそれがすっかり抜けていた。多分オーウェンたちは布団ではなくベッドでいつも寝ていたからだ。  ピッタリ隙間なく並ぶ布団はさすがに夜を連想させる。  顔が熱くなるのを自覚した。そういえば夕飯食べすぎて腹が出ているかもしれない。控えるべきだったか。
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