残念な頭でいざのぞむ

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 巧が笑いながらビールを飲む。家でも一緒に飲むことはいくらかあった。でも、場所も違うし格好も違う。それだけで、なんだか特別なものに感じてしまうから不思議なものだ。  巧がビールに口をつけながら言う。 「なんで女はそんなに風呂好きなんだか。爽快感があるって意味では好きだけど別に広くても大して普段と変わりないのに」  笑いながらそう言ったのを聞いて、私はふとその顔を覗き込んだ。  実は思ってたんだよね。女は風呂が好きって、まあ一般的にもよく知られてることだけどさ。それでも巧の言い方にちょっと思ってた。 「他の女の人とも旅館とかきたことあるんだ?」  単刀直入にそう尋ねると、漫画みたいに彼はごぶっとビールでむせ返った。苦しそうに咳を繰り返したあと、困ったように視線を泳がせる。  いや、そうだよね。普通だよ、この年でお父さんとオーウェンとしか寝たことない私が異常なんだよ。他の女の人と温泉くらい来たことあるに決まってるじゃんか。 「あーごめん忘れて。変なこと聞いた。大丈夫、もういい年なんだからそんな経験あるのが普通」
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