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私は両手を挙げてそう笑った。気になるっちゃ気になるしいい気分でないことは確かだけど、だからといってこの話をこれ以上蒸し返すのはどうなんだと思う。
聞いたっていいことなんか何もない。
「……まあ、なくはないけど」
「ああ、うんそうだよね、それが普通だよわかってる」
「そんな言い方するなよ」
「ごめんって。こんなの聞いても何もいいことないのに、つい言葉に出ちゃったの。気になっちゃって」
苦笑して言いながら酎ハイをあおる。そう、黙っておけばよかったのに。結構めんどくさい女なんだな私って。
恋愛なんてほぼゼロ経験だから知らなかった。前も思ったことあるけど、私はそこそこめんどくさい女だ。
それでも目の前にいる巧はふと私の顔を真顔で見た。
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