残念な頭でいざのぞむ

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 ぐーぐーと眠っている樹くんを、巧は虫けらを見るかのような目で見下げた。 「こいつ……  嫌がらせで来たな」  腕を組んだまま厳しい顔で言い捨てる。  眠ってしまった樹くんの顔を覗き込みながら私は振り返った。 「嫌がらせ?」 「樹が缶チューハイ一本で酔うわけないだろ。新婚夫婦の旅行に突撃してお楽しみを奪おうって魂胆だ」 「おた、お楽しみって!」  つい顔をかっと赤くさせて慌てふためいた。けれど巧は厳しい表情を一つも変えず、布団に寝転がってる樹くんの肩を強く叩く。 「おい、お前起きてるだろ。部屋行け」 「ぐー」 「無理矢理連れてってやる」  巧は樹くんを無理矢理起こそうとするも、樹くんは寝言らしきものを言いながらするりと避けて布団に戻った。巧はイラッとしたように片眉を上げる。  何度か巧が必死に樹くんを移動させようと試みるも、彼は華麗に避けて布団へ戻る。あ、うん、これ起きてるね。絶対起きてるよ。  なるほど、嫌がらせか。確かに樹くんが考えそうなことだとも思ってしまった。やけに巧を敵視してる彼のことだもんな。
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