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そう断言したのを聞いてつい恥ずかしさで目
線を下す。ちょっと嬉しい気がする自分は重症かもしれない。
「……じゃあ、そうする」
「鍵ちゃんとかけて寝ろよ。おやすみ」
テーブルの上に置きっぱなしにしている樹くんの部屋の鍵を手にとり、簡単に荷物だけ手にした。ちらりと巧を見ると、新しいビールを開けてまたあおっている。
その横顔が拗ねたような、不機嫌なような顔立ちで、なぜか私はちょっとだけ嬉しかった。
翌朝、身支度を整えて自分の部屋に戻ると、スッキリした顔の樹くんとぐったりした巧がいた。「いやーごめんごめん」と笑う樹くん、嫌がらせ成功して楽しくて仕方ないって顔してる。
その上巧に帰れと言われてもそのまま居座り、三人で豪華な朝食を食べることになった。巧の不機嫌はピークに達していてハラハラしそうだった。
結局チェックアウトギリギリになるまで三人で過ごし、そのあとは当然のように私たちの車に乗り込もうとした樹くんを、巧は華麗に置き去りにした。以前から思ってたけど、樹くんも大概だが巧もなかなか幼稚で負けず嫌いだと思う。
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