残念な頭でいざのぞむ

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 ハンドルを握りながら巧がため息をついた。 まあ、巧の彼女にもちょっかい出すって言ってたしなあ。 「前から聞こうと思ってたけど、いつからあんな感じなの? 仲良い時くらいあったでしょ?」  私が尋ねると、巧は一つ頷いた。 「子供の頃は仲良かったよ。俺も樹の面倒よく見てたし。でも小学校上がるにつれて、俺の成績のよさとかを嫉妬されて」 「ああ、比べちゃったのかなあ……」 「決定的だったのは、中学の頃あいつが好きだった女の子に俺が告白されたこと」  ギョッとして隣を見る。巧はすました顔で続けた。 「もちろん俺は振ったのに」 「いやあ……好きな子が兄弟を好きって、辛そう……」 「でも俺に恨まれてもしょうがない」 「まあ、逆恨みだけどね」  なるほど、樹くんってことごとく巧に劣等感があるのかな。本人だってあれほど綺麗な顔して人懐こくて、人よりたくさんの物を持ってるはずなのに、巧が持ちすぎてるんだよね。  ちらりと隣の巧を見る。頭よし顔よし。  でも性格に難あり。樹くん、ここ見逃してるのかな。 「なに笑ってるんだよ杏奈」
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