2832人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
自分が悪いくせに、私は心の中でそう思っている。心の狭い女だ。
私が歩き出すと、やはり樹くんが横をついてくる。
「いやーこの前の旅行楽しかったね! できればあのあと一緒に観光も行きたかったのにー」
「樹くん起きてたでしょ、あれ」
「あはは、やっぱバレてるよね? いいじゃん、どうせ二人は家に帰ったら好きなだけ一緒にいれるんだしさ。あんなのちっちゃな嫌がらせでしょ?」
私は目を座らせて樹くんを見る。好きなだけやれてたら今こんなことになってない。あいにくだが巧とはプラトニックな関係ですなんか文句あるか。
私の様子に樹くんはキョトンとした。
「どうしたの、なんか機嫌悪い?」
「いや……ちょっとね。ごめん、自分が悪いんだけどさ」
私はふうと小さくため息をついて歩みを進める。樹くんはそれでもついてきた。
「ね、今度こそ二人でご飯行こうよー」
「今日は急いでるのごめんね」
「ええー。結局一度も杏奈ちゃんとご飯二人で食べれてないんだからさー」
「別に二人じゃなくてもみんなで食べたでしょ」
「みんなじゃなくてさー」
最初のコメントを投稿しよう!