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確かに離婚するなら巧の言いつけを守る必要もないかもしれない。でも勝手に泊まらせるのもなあ……。私の家でもないし。
困っている私に、樹くんがさらに言った。
「巧とルームシェアできてたなら俺でもいいじゃん。寝るときは巧の部屋で寝るから。いやだけど」
「え、ええ……」
「ところで杏奈ちゃんまだご飯食べてないんじゃない? 準備しておいでよ、ご飯行こう」
頑なに帰ろうとしない樹くんに、私も折れた。もう彼を追い返すだけの力が残っていないというのもある。
正直食欲もまるでないのだが、断るのも面倒で私は無言で自室へ入っていった。
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