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「そうだ、買い物でも付き合ってくれない? こう言う時はお金パーっと使ってスッキリしなきゃね!」
樹くんはそう決定した。私が口を挟む暇もない。何かを言おうとしたけれど、その時ちょうど注文した料理が運ばれてきてしまい、完全に反論するタイミングをなくしてしまった。
彼は運ばれてきた料理を美味しそうに口をつけた。仕方なしに私も少しずつ食べていく。
ビールは液体だからかスルスルと入ったけれど、固形となるとやはりあまり進まない。私は必死にパスタを巻いて口に運ぶが、胃袋がすぐに悲鳴を上げていく。
困ってしまった私に気づいているのか、樹くんが食べながら言った。
「食べれるもの食べれる分だけ食べればいいよ」
「え……」
「またお腹空いたら何か食べればいいんだからさ。あ、アルコールで胃を痛まない程度にね」
優しいその声に少しだけ俯いた。
まだ半分以上残っているパスタは、それ以上手をつける事なく残ってしまった。
かわりにまたアルコールを水のように飲んでいく。酔いが回る様子は全く無く、ただ喉を潤すようにグイグイと飲みつづけた。
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