真実は?

24/37

2835人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
  買い物に付き合って、と言ったくせに、樹くんが足を踏み入れるのはレディースのお店ばかりだった。  服やアクセサリー、カバンに靴。多くが並ぶお店は、高すぎず安すぎず、足を踏み入れやすいお店だった。 「杏奈ちゃんどんなのが好み? 色とかさ」  そこいらにある適当な服を手に取りながら樹くんが聞いてきた。 「え、なんだろう、あまり考えたことないっていうか。店員さんに勧められるのを買ったり……」 「ブランドはどこが好き?」 「(ブランドより二次元が好きなので)あまり興味ないかな」 「ふーん、意外だね。こう、いつもビシッとした感じなのに」  樹くんは何か考えながらじっと洋服を見ている。私はといえば、買い物をする気なんか起きなくて困っていた。  さすがに今は、オーウェンの限定グッズが目の前に売っていたとしてもテンションは上がらないと思う。  樹くんが選んでいるのをただぼうっと眺めていると、彼が振り返って笑いかけた。 「こっちとこっち、どっちが好み?」 「え? ええと……こっちかなあ」  差し出されたスカート二枚を見て選ぶ。ふんふんと樹くんは納得する。
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2835人が本棚に入れています
本棚に追加