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「じゃあこれとこれは?」
「これ、かなあ」
「靴はこれとこれなら?」
「まあ、これ?」
「うんうん。オッケーオッケー。じゃあこういうの好き?」
樹くんが出してきた服を見た。どちらかといえば私がよく着ている服のテイストに似ている。
私は頷いた。
「うん、可愛いと思う」
「あーやっぱりね。こういう系が好みなんだね、よく似合うと思うよ。杏奈ちゃん顔立ちからしてふわっとした色よりパキッとしたやつのが絶対似合うし。ほら」
どこかの店員だろうか? 樹くんは私の体にワンピースを重ねた。
「丈もいいし動きやすいと思うよ、これ似合ってる」
「そ、うかな」
「はい、決まりー」
なんとスムーズなチョイスか。しかも私の好みも配慮しながら似合うものを選んでくれるとは。素直に感心してしまった。
「あとこっちとかね。これも買っておこう」
「い、樹くん、私そんな……」
「いーじゃん別に。服は持ってて損はないっしょ」
両手いっぱいになるほどの服を持ってにっこりすると、樹くんはそのまままだ買い物を続けていく。
その光景に、少しだけ笑った。
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