真実は?

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 なんていうか。ほんと変わった子だよなあ樹くん。知り合えば知り合うほど不思議でしょうがない。こういう時は器用だなあと感心させられる。  ……巧と初めて買いものにきた時なんて、めちゃくちゃだったのに。  よく分からない高級店に入って有無言わさず高い靴買って。嬉しかったけど、正直戸惑いが大きかった。  ああでもその後、巧もどうしていいか分からなくて戸惑ってたって教えてもらったんだっけ。意外とちゃんとしたデートなんてしてこなかったって。  お互い緊張してただけなんだって。 「杏奈ちゃん、化粧品とかも見てみよう」  いつのまにか会計を終わらせていた樹くんは大きな紙袋を持って立っていた。ぼうっとしていた私は慌てて彼に言う。 「ご、ごめんお金……!」 「あーいいのいいの。ほら、化粧品こそあって困るもんじゃないでしょ? 杏奈ちゃん可愛いからいらないくらいだけどね」 「あ、せめて荷物を……」 「いやいや、どこに女に持たせる男がいるんだよー。さ、いこいこ」  巧と真逆でデート慣れしてるであろう樹くんは、さらりと私の提案を流して店の外へと出ていく。私は慌ててその後を追った。
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