2837人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
夜遅く、適当に夕飯をとった私たちはようやく一息ついた。
忙しく出かけていたので、なかなかゆっくりするタイミングもなかったのだ。
まず樹くんにお風呂に入ってもらい、その後私も入浴した。ようやく出てリビングに入った時、冷蔵庫を漁ったのか、リビングでチューハイを飲んでいる樹くんが私に言った。
「あ、飲んでるよ。杏奈ちゃんも飲みなよ」
我が家のように馴染んでいる樹くんに笑った。くつろぎかたもすごい、完全に羽を伸ばしている。
私は素直に冷蔵庫からチューハイを取り出して彼の隣に座った。今日は飲みまくりの一日だけれど、もう罪悪感なんて何もなかった。
蓋を開けて飲むと、レモンの酸味が喉を刺激した。
「杏奈ちゃんやっぱお酒強いよね、全然酔わないじゃん」
「そうかな」
「そーそー。昼間から酔わせようとしてるのに全然なんだもん」
「あは、酔わせようとしてる?」
「うん、酔わせて襲おうかなって」
「絶対思ってないでしょ」
私は笑いながら言った。樹くんは目を座らせてこちらを見る。
「俺杏奈ちゃん押し倒した前科あるはずなんですけど……」
「あれも悪ふざけでしょ」
最初のコメントを投稿しよう!