隠し事はもうしない

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 巧は無言でダイニングに腰掛ける。私もその隣に慌てて座った。 「結構強引な見合いのあと、こっちは断ってんのにもう一度だけ会えってしつこくて。仕方なしに行ったのがホテルにあるバーで」 (バー……行ったことない……本当にそんなおしゃれな場所存在するんだ……) 「なんか一人で飲みまくってベロベロに酔いやがって」 (すんごく嫌そうに喋るなこの人……) 「家まで送るって言ったら部屋とってあるからそこまで送れってしつこくて。安西グループはちょっと邪険に扱えない相手だからしょうがなく送ったら、入った瞬間俺の服を脱がせてきて」 「ブフォ!」 「吐き出すな、汚い」 「そそ、そんな展開ある!? 三次元にはそんな凄いことあるんだ!?」 「三次元?」 「いえ、なんでもないです」  自分を必死に落ち着かせた。ちょっと待ってほしい、予想外すぎる展開で全然ついていけない。特に恋愛偏差値ゼロに近しい私にはまるで無理。  なんとか平然を装いながら続きをたずねた。 「そ、それで?」 「怖かった」 「感想聞いてないんだけど」
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