隠し事はもうしない

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「いや本当に怖かったんだって。俺今までも変な女に言い寄られたことあるけど群を抜いてすごかった。だから穏便に済ませたくて、もう少し飲んでからにしませんかって誘導したんだよ。んで部屋で二人飲んで、飲みまくって。つーか飲ませまくって、潰した」 「それって普通男女逆なんじゃ……」 「ほんとそれ。かなり飲ませたよ。んで潰れたところをこっそり出てきたわけだけど、それで勘違いでもしたんだろうな。なんせあの女途中からほとんど裸で飲んでたし」 「ひぇえ!」  この私にはあまりに刺激が強すぎる話だった! 脳内はぐるぐると混乱しているが、いや細かいことはどうでもいい。そう、ちゃんと真意だけ見なきゃ。  私はぐっと巧に顔を寄せて聞いた。 「じゃあ……安西さんと何もしてないの?」 「あんな見るからにやばい女としてたまるか」  私は両手で顔を覆った。  まさか、そんなオチだったなんて。じゃあ、安西さんのお腹の子は他の男の子供というわけだ。私は巧と離婚しなくていいんだ……。  こんなことなら、すぐにでも聞いておけばよかったのに。  呆然としている私の頭を、そっと巧が撫でた。
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