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「…………」
なんかよく分からないけど、
巧がちょっとだけ怖い。
それからしばらく経った頃、安西さんたちと話し合いの場が設けられた。
私は巧と二人、あちらは安西さんとそのご両親。どんな図ですか、おかげで緊張ガッチガチだ。
場所は有名高級ホテルのラウンジ。今からとんでもなく修羅場な話が始まると言うのに、こんな場所でいいのだろうかと心配になった。
巧はスーツを身にまとい、まるで仕事に行くかのような格好で準備を整えた。私もしっかり身だしなみに気をつけておく。
二人で待ち合わせ場所に着いた頃、すでに三人は座って私たちを待っていた。安西さんはお腹が余計に大きくなったように見え、そして私の顔を見て勝ち誇ったように微笑みかけてきた。
そんな安西さんには目もくれず、巧は飄々とした様子で三人に歩み寄り声をかけた。
「お待たせして申し訳ありません、ご無沙汰しております」
頭を下げた巧に続いて私も続く。淡いブルーのワンピースを着ている安西さんの両脇には、やはりお金持ちそうな男女が座っていた。
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