隠し事はもうしない

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 巧は床に置いておいた鞄から何やら資料を取り出す。それをパラパラめくりながら言った。 「調べさせていただきました。まず第一に、これは調べるまでもなく私の耳に入っていたことですが、安西グループの経営はここ数年かなり傾いている」  安西家は固まったまま、誰も動いていなかった。巧はさらに続ける。 「もし私と唯さんが結婚となれば安西グループにとっても大きなことでしょうね。両親に聞きましたが、あの見合いはそちらからかなり強引に進められたと。残念ながら見合いはうまくいきませんでしたがね」  ゆっくりと、まず唯さんのお母さんが首を動かした。唯さんとお父さんをじっと見ている。 「さて次に。先ほども申した通り、私は爆睡している唯さんを置いて帰宅したわけですが……その周辺で、唯さんは夜な夜な行きずりの男性と関係を持っている。調査で少なくとも三人は判明しています。さて、お腹の子の父親は誰でしょう?」  巧は持っていた資料を閉じ、それを机の上を滑らせながら安西さんに差し出した。安西家の顔色は真っ青で、人間ここまで顔色が変わるのかと心配になるほどだった。
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