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それから念のため他の男性とも関係を持って無事妊娠、堕ろせなくなるまで黙って、確実に巧と結婚できるように計画した……
……怖すぎじゃない。いつだったか巧と見に行ったホラー映画よりよっぽど怖い。
安西さんたちは黙っていた。図星だったのだろうか、言い訳すら思いつかないと見た。確かに、最終的にはDNA鑑定すれば言い逃れできない。
巧は冷ややかな目で三人を見ていた。
「もう私と妻に関わらないでください。大事な妻を悲しませ混乱させた罪、はっきり言って私はかなり根に持ってますよ。この件は無論父にも報告しておきますので」
「! た、巧くん!」
「父も妻をとても気に入っていますから怒るでしょうね、安西グループとの関わり方を考えるでしょう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
巧はにっこり笑った。
「お忘れかもしれませんがいずれは私が藤ヶ谷を継ぎますので。少なくともその際は……覚えておいてください」
三人は青ざめたまま何も言わない。いや、言えないのだろうか。私は何も言わずにそれを見守る。
「とりあえず唯さん、お体に気をつけて。お腹の子には罪はないですからね。もしまた妻に会いにいくようなことをすれば警察を呼びますので」
さわやかに笑いかけた巧に、唯さんは何も言わなかった。額に汗を浮かべてただ座っている。
その光景を見て嫌悪感に満ちた。いくら事情があったとしても、相手を騙すようなことまでして結婚したいだろうか。しかも子供を作ってまで。お腹にいる子が一番の被害者だと思う。これから先一体どうするつもりなのか。
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