隠し事はもうしない

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 中は見慣れた部屋だ。  散らばったゲームソフトに愛する人たちのポスター、DVD、フィギュア、抱き枕。巧はその部屋を見た途端、わかりやすく驚いた。  それでも恐る恐る彼は中へ足を踏み入れる。麻里ちゃんしか入ったことのない私の楽園。  震える両手を必死に抑えながら、それに続いた。小声で言う。 「あの、私……すっっごく二次元が好きで。あの、だからずっと生きてる男の人にも興味なかったの」 「…………」 「この通りかなりのオタクで。……前、巧に部屋に行っていいかって聞かれた時も、こんな部屋見られたら絶対引かれると思って、だから断っちゃって」 「え」 「かく、隠し事はよくないってわかったから。だから……見せてみた……ごめん、引いた……?」  そっと巧の顔を見上げてみる。彼はじっと部屋中を見つめていた。  ああ、ついに。言ってしまった。私のトップシークレット。  今まで誰にも言うことはなかった。家なんて一人でオタ活を楽しむために存在している場所だったから、そこに誰かを入れるなんて考えてもなくて。
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