隠し事はもうしない

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「引いたりなんかしないよ。俺の半ストーカー行為の方がよっぽどドン引き案件」 「あは! 半ストーカーって」 「まあ意外だとは思ったけど。誰にだって息抜きしたい時もあるし、何を好きでも自由だろ。こんなんで引くと思われてた方がショックだ」  私は笑った。そんな私をみて、巧も目を細めてみてくる。  そうか。そうなんだ。  もっと早く言えばよかったのかな。どうしても意固地になって人に言えなくなってしまっていた。でも確かに、巧がこれで引いていなくなるなんてありえないって今なら思うのに。  何て馬鹿だったんだろう、私って。  巧がしげしげとグッズたちを観察している。ほっとしてその背後から声をかけた。 「よかった……なんか、もっと早く言えばよかったのかな」 「そうだよ。この部屋を見るより『絶対ダメ』なんて断られる方がずっとショックだっつーの」  ぎくりとする。ああ、やっぱり根に持たれてた……いや確かに、あれは私が悪い。言い方ってもんがある。 「そ、その節はどうも……」  困りながらそう言って苦笑いすると、巧がこちらをふっと振り返った。そして私の目の前に歩み寄る。  彼を見上げると、嬉しそうに笑っていた。 「ま、やっと杏奈の隠し事が知れて嬉しい」
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