隠し事はもうしない

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 そんな私を、巧は優しい目でみた。そして言う。 「俺は絶対杏奈を裏切らないから。二度と離婚届なんか持ってくんな」 「……はい」  巧は再び私に口付けた。彼の髪が垂れて私の顔を掠める。  全てが片付いた。私はこれから先も巧の隣にいていいんだ。そう思うだけで、安心で泣いてしまいそになった。  緊張で溶けてしまうかと思った。  それでも、巧が何度も心地いいアルトで私の名前を呼ぶたび力が抜けた。  まるで宝物を触る子供のように私に優しく触れる巧の手が心地よくて、全身がただ幸福感に満ちてくる。ああ、本当に大事に思ってくれているんだって実感できた。  そしてやっぱり巧という人間が、私は心底好きなんだと思い知った。
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