隠し事はもうしない

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   瞼を開いたとき、視界に入ってきたのが至近距離の巧だったので驚いた。  一人用の狭いベッドに二人は窮屈だ。私たちはピッタリ体を寄せていた。  巧とは一緒に暮らしてそこそこ経つのに、部屋が別々のせいもあって一緒に寝たことなんかない。というか、寝顔初めて見るかも?  まつげの一本一本が確認できるぐらいの距離で巧をみたことなんてなかった。私は息をするのも忘れてその寝顔に見入ってしまう。  ……そういえば、いつも帰り遅いし朝は早いしなあ。それなのにちゃんと家事は分担してるし、この人絶対寝不足だよね。  ぼんやりとそんなことを思っていると私の熱い視線に気が付いたのか。巧が突然パチリと目を開けた。ついびくっとしてしまう。 「……おはよ」 「あ、おはようござい、ます」 「なんで敬語」  巧が笑う。狭そうに仰向けに体制を変えた。その横顔を今度はじっとみてしまう。  巧はぼんやりと天井を見つめていた。 ……まさか自分にこんな時間が来るとは。ドラマみたいなワンシーンじゃないか。なぜか今更ワクワクしてきた。  少し前の私じゃあ絶対考えられなかった。今自分で自分に感動している。三次元の男と一緒のベッドで目を覚ますって、ほんと……! 「あのさ」  一人心の中で感激していると、巧が声をかけてきた。 「え?」 「まあポスターはわかるんだけどさ」 「うん」 「なんで天井に貼ってるの?」  巧の視線の先には、キラキラスマイルのオーウェンがいた。
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