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……全然ドラマのワンシーンじゃなかった。そんなロマンチックな場所じゃないだろ私の部屋は。もうちょっと綺麗でおしゃれな部屋だよドラマは。
なんだか急に現実に引き戻された私は冷静に答えた。
「寝る時オーウェン見て寝れるじゃん」
「すっげ……」
「あれ貼るのすごく苦労したんだ」
「次貼りたい時は呼べよ、貼ってやる」
巧はそういうとゆっくり体を起こした。後頭部が少し寝癖で跳ねている。
そんな彼の後ろ姿を見ながら微笑んだ。
そっか、ポスター貼ってくれるんだ。すんごい変な図だけど、素直に嬉しいや。この趣味続けてもいいんだね。
巧がベッド下に落ちている服を拾いながら、何かを思い出したように言った。
「あ」
「え、何?」
「杏奈今度の土曜空いてるよな」
「え、空いてるけど」
「どこ行きたい? 前肉好きって言ってたから肉にする? ステーキかしゃぶしゃぶでもいいし」
なんだか外食する前提で話が進んでいる。私は首をかしげた。
「え、なんで急にそんな外食? 肉食べたいの?」
私がそう言うと、巧が呆れた顔で振り返った。
「はあ? 杏奈誕生日だろ」
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