隠し事はもうしない

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「だからこんなに全力で誰かに祝ってもらえたのいつぶりだろうって。もう誕生日なんてさして嬉しくない年だけど、やっぱり嬉しいね。祝ってくれる人がいると」  目の前に座る人に笑いかけた。  ほんとそうだよね。巧と出会う前も趣味と仕事で楽しかったけど、また違った喜びを知ることが出来た。この人ときたら色々変な人で大変なこともあったけど、今思うと笑い話になる。  人と時間を共にするってこういうことなのかな。過去の失敗すら笑って話していける。 「ほんと変な感じ。変な感じだけど凄く幸せ。いい一年だったよ。来年もこうやって出来たらいいね」  心の底からそう言う私を、巧はじっと見つめていた。  私は目の前の料理を口に運びながらお酒を嗜む。美味しいものに囲まれて最高に気分は高揚している。  そう来年も、再来年も。こうやって楽しくいれたらな。あーでも完璧すぎて巧の誕生日どうしよ、困ったや。  一人色々考えながらもぐもぐ咀嚼していると、巧が口を開いた。 「杏奈」 「ん?」 「俺今から変なこと言うけど笑わないか?」 「内容による」 「ははっ、そこ笑わないよって言うところだよ馬鹿」
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