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言いかけて止まる。ぼんやりしながら返事をしそうになって危なかった。
私は首を振って冷静に答えた。
「いや、あまり多くないし。お互いの部屋に入らないルールじゃなかった?」
「その通り。俺の部屋も絶対入らないように」
「入る必要がないから入りません」
危ない、危ない。ほっと胸を撫で下ろす。
別に私の毛玉まみれの部屋着や、いっそパンツを見られたとしても構わない。そうじゃなくて、もっと見られたらまずい私物が多くある。てゆうか荷物のほとんどがそれ。
オーウェンのポスター!!
フィギュア!!
本、雑誌、DVDたち!!
極め付けが抱き枕!!
咳払いをする。そう、それが私の最大の秘密、隠し事。長きに渡り築いた才色兼備の高杉杏奈の像を今更壊すわけにはいかない。
別にこの男にばれたとしても言い振らすようなことはしないだろうけど、馬鹿にしてきそうだもん。『存在してない者になぜそんなに思い入れる?』とか言って。そんなことを言われれば即座に離婚の手続きとなってしまいそう。
それに一人だから楽しめる。集中できる。私一人だけの世界でいたい。
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