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「じゃあ私は荷解きしてくる」
「ああ、もう杏奈の家でもあるんだから好きに動けばいい。俺の部屋以外ならどこに入ってもいいしなんでも使ってくれ」
そう言い放つと、彼はスタスタと無言で自室へ入っていってしまった。パタンと部屋の扉が閉められた後、ご丁寧に鍵までかけられたのがわかる。
(そういえば、あの人はなんであんなに部屋を隠してるんだ……?)
藤ヶ谷グループの大事な仕事の書類たちがあるとか。うんうんありえそう。
あとは私みたいに人には言えない趣味をお持ちだったり。鞭とか蝋燭あったらどうしよう。ってそんな思考してる私がやばいな。
「さてやりますか!」
私は腕まくりをして意気込む。男女二人きりのルームシェアなんて少し緊張していたけど、これだけ広くてお互いの部屋もあればあまり気にならないな。
私は早速自室へと入る。
念のため私も鍵をかけてから振り向くと、十分な広さの部屋がそこにある。以前住んでいたアパートより広いかもしれなかった。十分すぎる広さに、大きな窓から暖かな日差しが入り込んでいる。日当たりも抜群みたいだ。
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