引っ越しました

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 そこまで考えて、もしや例の『好きなシングルマザー』にあいに行くのではと思い浮かんだ。そうかも、仕事って言ったけど実はデートかな。 「ま、いっか。明日は私も仕事だしゆっくりしよー。新しいゲームネットで購入しちゃおー」  私はお茶を飲みながら携帯を取り出し、気分よくくつろぎ始めた。むしろ一人の方が最高に開放的だもん、どうぞ夜中まで行ってらっしゃいませ。  私の心の声が叶ったように、その日巧は寝る時間になっても帰っては来なかった。  翌日。その日は朝から土砂降りの雨だった。  朝起きてみると、すでに彼は出社したようだった。帰ってきてないのかとも思ったが、シンクに見覚えのないグラスが置いてあったので一度帰っては来たらしい。  私が寝るまで帰ってこなかったのに、朝はこんなに早いとは。ほとんど寝てないではないか。  さすがは藤ヶ谷副社長だなあなんて感心しながら朝の支度を整え、私も出社する。マンションは職場から非常に通勤しやすい場所にあったので、そこは感謝しながら移動した。
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