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私がいうと、ギョッとしたように彼は目を見開いた。信じられないコイツ、といった顔だ。
「お前……」
「何で見ちゃった方がそんな態度なの、下着の一枚や二枚」
「お前仕事の時と印象違いすぎる。敏腕秘書はどこへいった」
「だから仕事とプライベートは別よ」
私が言い放つと、巧はため息をついて片手で顔を覆った。あれ、どうしてそんな反応? この男なら、私の下着を見たくらいじゃ何も気にしなそうなのに。
「なるほどな、今まで男と関わらなかったからそういう感覚に疎いのか」
「そういうって?」
私が聞き返すと、巧は顔を上げて鋭い目つきで私を見る。つかつかと歩み寄り、私を上から見下ろした。
「危機感を持て。俺も男なんだから」
「そりゃ知ってるけど」
「俺がお前を襲わない保証はないだろ」
「だってすごく好きなシングルマザーがいるんでしょ」
キョトンとした私に対して、さらに彼は呆れたように首を振った。
「あのな。男は、別に好きじゃない女でも抱けるんだよ」
「それは知ってるけど、あなたはそんな頭の悪い雄とは違うでしょう?」
私が言うと、驚いたように目を丸くする。
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