引っ越しました

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「おま、いくつなんだよ……それ学生時代のジャージ?」 「物持ちいいよねー」 「そうじゃない、おにぎりのTシャツってよく探し出したな、初めて見た」 「基本美味しそうな洋服を部屋着に選んじゃうの。靴下も可愛くない?」  私は足を上げて可愛い靴下をアピールした。冷えは大敵だ、室内でも寝る時以外は靴下かスリッパを履きたいタイプなのだ。  巧はしばらく無言で私を見つめていた。そして間があったあと、呆れ返りましたというように大きなため息をつかれる。 「さっきの部屋着はどうした……あれでいろよ……」 「あー友達に誕プレでもらったやつね。寝心地はこっちの方が好きなんだよね」  冷えた水をようやく喉に流し込む。まあ、ちょっと奇抜な自覚はあるけどこれで外には出ないもの、別にいいではないか。寝るときは寝心地重視なのだ。  巧は片手で顔を覆った。そんな嘆くほどダサいか?  先ほどまで裸だった巧は、私がお風呂に入っている間にいつのまにか服をきていた。至ってシンプルな黒いスウェットだ。普通すぎてつまらない。 「杏奈。俺のカード使っていいからもっとマトモな部屋着買え」
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