引っ越しました

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「失礼な。まともじゃない」 「正気か? おにぎりとショートケーキの衣類を身に纏うのがまとも? 食い物まみれで胸焼けしそうだ」 「正気かってこっちの台詞よ! 部屋着なんて誰にも見られない時こそ少し普段と違ったもの着て気分を変えるの、そんな黒いスウェットなんてつまらないな!」  私がビシッと人差し指で巧を指さして言い放つ。巧はそんな私を目を細めてみている。顔には、『何かダサい格好で力説してるこの馬鹿をどうしよう』って書いてあるのが読める。 「つまらないってお前……」 「今度巧にもおにぎりのTシャツ買っといてあげる、あなたのカードで」 「勘弁してくれ」 「なあに、巧の好きなシングルマザーの人はもっと可愛い部屋着なのかな? そんなの私には関係ないもんねー好きな人が部屋内にいたらそりゃ私もオシャレするよ」 「……」 「好きな人(オーウェン)と暮らしたらなんとかペケの部屋着買うよ」 「ジェラートピケのことか」 「何で巧が知ってるのよ」
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