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口からでまかせを述べているのだとわかってはいたけれど、なんだかくすぐったい気持ちになった。もし本当に大好きな人と結婚できて、こんな風に言われたらすごく嬉しいんだろうな、って。
あーあ、オーウェン画面から出てきてくれないかな。
アホな事を考えている私をよそに、祖母は嬉しそうに何度も何度も頷いた。
「そうね、杏奈ちゃんは昔から凄く明るくて元気なの。しっかりしてるけど抜けてるとこもあってね。わかってくれてて嬉しいわ」
「抜けてるって、ばあちゃん……」
「そうだ、結婚式はどうするの? 会場探してる?」
前のめりになりながら尋ねる。点滴の管が少し揺れた。私と巧は一瞬顔を見合わせる。
「あのね、私も巧も仕事がすごーく今忙しくてね、落ち着いた頃ゆっくり探そうかって話になってるの」
以前巧のご両親に告げた内容そのままを祖母に言った。結婚式なんてごめんだと思っていたけれど、そういえばおばあちゃんにだけは見せてあげたかったな、とも思う。
でも意外とばあちゃんはがっかりした様子もなく、あっけらんと言った。
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