来客者

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 時々カレーなどの簡単なものを大量に作ってはしばらくカレー続きになる生活を送っていた。だって一人分のカレーなんて作れないじゃない?  私は区切りのいいところでゲームを終えると、たちあがってキッチンへ向かう。冷蔵庫を開けてみれば、そこそこ食材たちがあった。カレーを作るには申し分ない。  腕まくりをして手を洗い、私はカレーの調理に取り掛かった。料理は好きではないけど、作るとなればそこそこちゃんとやるタイプなのだ。  しばらく集中してカレーと向き合いしっかり煮込む。広いキッチンに調理の音と匂いが充満してくる。  するとその時、インターホンが鳴り響いた。エントランス前の音だ。あれっと顔をあげる。麻里ちゃんは三時頃来ると言っていたのだが。  誰だ誰だとカメラを覗き込めば、こちらに向かって手を振っている麻里ちゃんが映り込む。どうやら早めに到着したらしい。 「はーい!」  ロックを解除し一旦鍋の火をきる。しばらくして、今度は部屋の前のインターホンが鳴ったので慌てて出迎えに走る。玄関の扉を開ければ、久しぶりに会う麻里ちゃんの顔があった。 「杏奈! 久しぶり!」 「麻里ちゃーん!」
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