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日当たりの良い南向きの窓辺から、中庭の緑の木立がさわさわ揺れるのが見える。
地方の大学病院にて。
私は身体を一ミリたりとも動かすことはできないから、この窓辺から中庭をこうして眺めていることしかできない。
私はそんな中、この窓辺でいつも、私の旦那さまの姿を待つ。
旦那さまは毎日同じ時間に、それはショップがヒマになる夕方の5時頃だと思うのだけれど、わざわざ私に会いに来てくれるのだ。
私の愛しい人。
あ、あの人です。あの人が、私の旦那さまです。
私は窓辺から手を振る。
彼の手には、淡いピンクの花束。旦那さまは時々そうやって、私に花束を持ってきてくれて、私の隣に飾ってくれる。
彼はいつも小走りできて、そんなに走るとつまづきますよと、私が声をかけても全然きいてはくれなくて。
ああ。もうすぐ、旦那さまに会える。
ドアがノックされると、途端に私の頬は染まり、胸もトクントクンと鳴り始める。
旦那さまは私の最愛。
どうか私のことを、いつまでも愛してください。
ずっとあなたの、
隣にいたい。
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